ゲームしている人のブログ

デジタルゲームとその研究に関することを書いていきます

ハーフリアル紹介-3 ルール(2)

『ハーフリアル』について、読後のレジュメをまとめました。
学生の人にはゲーム研究の入り口として、また社会人の人にはゲーム研究を実務に活かす切り口として、参考になれば幸いです。

ここでは、「3 ルール」の章について紹介します。
今回紹介する内容は pp.93~116 までの内容です。

なお、今回疑問点のところについては予想以上に時間がかかったので後から更新します。
あしからず。

(2016-10-12 追記)疑問点のところを追加しました。

続きを読む

2016-10-08

こんばんは、今日も今日とて猫に更新を邪魔されるKです。
最近は慣れてきたのか、キーボードをガリガリ叩いても反応しなくなりました。

ハーフリアルだけ読んでるとメンタルが疲れてくるので、そろそろ合間に別の本を読もうかなと思います。
研究方法論の本でも読もうかな……(今更感)

今日の更新

use-k.hateblo.jp

use-k.hateblo.jp

ハーフリアルの3章に入りました。
ようやく3章かよ、まだ折り返してすらいねえじゃねえか。ごめんなさい。
本書で3章が一番長い章なので(全体の約3分の1)、頑張って読んでいきます。


そろそろ気温が下がって、暑さが気にならなくなってきましたね。
油断するとあっという間に冷え込むので、体調を崩さぬよう気を付けます。

それではまた、次の機会に。

おまけ:「easy to learn but diffcult to master」はどこから?

 ハーフリアルの本文中で紹介されているeasy to learn but diffcult to master(p.78)の文言について、初出が気になったので軽く調べてみました。

  • 結論
  • 調べたところ(2016/10/07閲覧)
    • 1.Wikipadia
    • 2.Wikipediaの出典
    • 3.ググろう
  • 派生元の記事
続きを読む

ハーフリアル紹介-3 ルール(1)

『ハーフリアル』について、各章ごとの簡単な紹介……というか読後のレジュメ? をまとめました。
学生の人にはゲーム研究の入り口として、また社会人の人にはゲーム研究を実務に活かす切り口として、参考になれば幸いです。

ここでは、「3 ルール」の章について紹介します。 今回紹介するのはpp.76~93までの内容です。

続きを読む

2016-10-06

こんばんは、進学先の大学院ゼミに参加したら殺戮現場を目撃してしまい早くもゲンナリしてしまったザコメンタルのKです。
M2の先輩方がこの時期に先生方に詰められているのを見ると、将来の自分の姿を見ているようで胃がキリキリしますね。
頑張って反面教師にできるようにしたいです。

進学予定の大学院の研究室では、教育工学の研究をしています。
研究室の話をする時はだいたい教育工学の話をするものと思ってください。

今日の更新

use-k.hateblo.jp

大学院ゼミに参加する際に文献読んだので、せっかくだしまとめてみました。
時間かけてまとめた割にはあまり得るものが無かったような……
まあ将来への投資と思って割り切ります。


卒論提出まで残りほぼ3ヶ月になりました。
ある程度目処が立ったらちょっとここでも宣伝したいと思います。

そういえばゼミ参加した際、研究の相談先として紹介された方がいるのですが、どういう方かよく理解せず割りとフランクに話してしまったのですが、後で調べたら予想以上に偉い方でした(失礼)。
来週またお会いした時に謝らなければ……

それではまた次の機会に。

"14 Project-Based Learning", The Cambridge Handbook of the Learning Sciences

 進学先の大学院ゼミで文献購読課題が出たので、頑張って読んできました。
 本記事はその文献の内容まとめです。



概要・感想

 PBL(Project-Based Learning)について紹介した英語文献です。海外の大学で使われている入門書に掲載されています。  PBLの特徴や思想史的背景が書かれてます。

 これ読んで気付いたのですが、自分はどうしても入門系の英語文献読むの苦手ですね。なぜなら、日本語文献で同じ事項について説明しているものとの差異がよく分からないからです(そして、わざわざ英語文献を読む意味がないなら日本語文献でいいじゃん、と思ってしまうダメ学生です)。
 多分事前に日本での言説まとめた上でこういうの読むと、差異がすごい見えて面白いのでしょうね。文献自体は2015年に書かれたものなので、おそらく海外の最新研究動向が反映されていると思われます。

 まあ、これ読んだら日本語文献の入門書はあまり読む必要がなくなるでしょうか。
 これ読んだ後に日本語の論文読んでて違和感感じた時に、日本語の入門書と比較対照するとそれぞれ研究潮流の違いが出て面白いと思います。
 今回はその辺の作業はしないのであしからず。

注意事項

キータームの訳は適当です。日本語文献読んだら直します。

書誌情報

  • Krajcik,Joseph S. and Shin,Namsoo, 2015, "14 Project-Based Learning", The Cambridge Handbook of the Learning Sciences, Cambridge University Press,275-297
    • 出版日が日本だと2014/11なのに、本家?だと2015/1になってるのはなぜなんだ……
    • 本家のHPは→こちら

読んでわかったこと

PBLとは何か

特徴

1.PBLは駆動質問から始まる
  • 駆動質問とは?:プロジェクト活動の方向性を決めるもの
    • 先生曰く、この問いをきちんと立てることができれば、プロジェクトの半分は成功したも同然らしいです。逆に言えば……
  • 駆動質問が持つべき要素
    • (1) 実現可能性:学習者はそもそもその問いに答えることができるのか?(リソース的な意味で)
    • (2) 学習価値:学習目標に合致し、また実際の科学的研究で行われていることと関係する内容を含んでいるか?
    • (3) 文脈性:その問は学習者に取って現実味があり、重要なものか?
    • (4) 有意味性:それは学習者に取って面白いものなのか?
    • (5) 倫理性:それは倫理的で、誰にも被害をもたらさないか?
  • 良い駆動質問とは?:学習者のやる気を引き出し重要な問題があると認識させるもの
  • 駆動質問は誰が選ぶのか?:基本的に先生、たまに学習者と一緒に選ぶ
  • 学習者(本文ではおそらく中学生)にとって特に難しいこと:駆動質問に、持つべき要素すべてをもたせることが難しい。特に学習価値と有意味性の両立が困難。
2.学習目的は、主要な科学的標準とその評価についての熟達証明である
3.科学的実践に参加する中で解決策を探索する:分野における重要な概念を学び、応用する
  • 科学の目標は、様々な事象を説明し、次に何が起きるのかを予測すること
  • 科学的実践とは?
    • 1.調査の計画を立て、実践する
    • 2.研究上の問い(Research Question)を洗練させる
    • 3.分析モデルを構築し、更新する
    • 4.事象の説明となる記述を作り出す(=「論文」を書く?)
  • 学習者にとって難しいこと
    • 1.主張を明確にし、守るために自分の説明を使うこと
    • 2.何を適切な論拠とすればよいかの理解
    • 3.主観に依存しないこと
4.駆動質問に対する解決を、共同作業を通じて探索する
  • PBLは、問題解決に当たり互いに協力する機会を提供する
    • この中で学習者は、質問したり、説明記述を書いたり、結論を形成したり、入手した情報を理解したり、データの解釈について議論したり、発見したことについて発表することができる
  • 学習者は自然と他の学習者と協働することができないので、適宜教師が補助をする必要はある
5.学習者は学習技術を用いて科学的実践に参加する
  • 学習技術=学習者に不足している能力を補うもの
  • 学習に各種道具を使う理由
    • 1.科学的実践とのつながりをもたせることができる
    • 2.情報を動的に、かつ操作可能なフォーマットで提示することができる
    • 3.教授・獲得モデルの学習から離脱させる機会を提供する
6.学習者は有形の成果物一式を生み出す
  • 成果物=学習者の中で構成された知識の、外的表現
  • 効果的な学習効果をもたらす成果物の要件
    • 1.駆動質問の解決となる
    • 2.プロジェクトの学習目標に関連する理解の発達を助ける
    • 3.学習がもつ学習目標の理解度を表現するものである
  • 成果物の開発に注目する理由
    • 1.開発により、学習者は自身の理解を、試行錯誤して構築するため
    • 2.非線形的な学習の結果を測定しているのに適しているため
    • 3.開発の中で、学習者は自らの成果物を理解可能なものにしようと務める
      • なぜなら、最終的にその成果物が様々な人たちに見られるからである

出て来る背景

  • ①学習者は、社会的および国際的な問題に直面している
  • ②しかし、世界中の教育システム(=組織、制度)は、その問題に対処する能力を体系的に付与することに失敗している
  • ③故に教育方法について劇的な変化を起こす必要がある
  • 劇的変化の目標として、主要概念への深い理解を発達させる方法の模索が現在の主流で、PBLはその手段の一つ

教育学的な思想背景

  • 元はデューイの思想まで遡る:学習者にとって意味のある文脈で学習することが、最も学習効果が高い
  • 最近の学習科学研究により、デューイの思想は次のように発展している
    • 1.active construction(能動的構築)
      • 知識は能動的に形成される
      • 深い理解をもたらすには時間がかかり、また統合を(何の?)必要とするタスクに取り掛かっている時に起きるとされる
    • 2.situated learning(状況的学習)
      • 効果亭な学習は、現実世界の文脈に則った時(=高い真正性を持つ時)に可能となる
      • 特定状況の中で学習を実行することにより、その価値と意味が見出しやすくなる
    • 3.social interactions(社会的相互作用)
      • 概念や原則の理解は、それを他者と共有し、使い、議論することで深まる
    • 4.cognitive tools(認識の道具)
      • 認識の道具により、学習者の調査対象範囲や実験可能範囲が拡大した
      • 認識の道具は、以下のような特徴を持つ
        • (1) 様々な範囲の科学的データや知識にアクセスし、集めることができる
        • (2) 可視化や分析の手段を与える
        • (3) 協働や共有を可能とする
        • (4) 分析モデルの企画、構築、検証ができる
        • (5) 学習者の理解を表現することができる
        • (6) 他者のアイデアについて相互行為、共有、批評することができる
      • 上記枠組みで考えると、コンピュータソフトウェアの大半は、認識の道具とみなす事ができる

読んでよくわからなかったこと

  • 駆動質問を評価するための有意味性は、どうやって測定するのか
    • せめて、どのように測定すると良いかの指標を示してほしい
    • 読む限り↓の文献に載っていそう。古い版の邦訳が出てるからそれ読もうかな……
      • Krajcik, J. S., & Czerniak, C. M. (2013). Teaching science in elementary and middle school classrooms: A project-based approach. Fourth Edition. Taylor and Francis: London.

 これは最終的に面白さとは何か?につなげるための問いです。というかちゃんと言及されている論文に遡ったら見つかりそうではありますね。  ハーフリアル読み終わったら手を出してみようかな……

2016-10-05

こんにちは、何かしようとすると必ず何かしら不可避な用事が降ってくるKです。
院進先の研究室から早くも課題文献が降ってきました。どうせ降ってくるなら女の子が良かったです親方
という訳で明日参加するそのゼミの課題文献を今必死こいて読んでます(よりによって英語文献)。
なので3章読むのはもうしばらく先になりそうです。。。

課題文献自体は教育工学に関する文献(プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)に関するやつ)なので、それはそうとして読んでて面白いです。
こちらについても後ほどちゃんとまとめ記事作ります。

ちなみに私は英語三文字略称の専門用語は嫌いです。


最近思うのですが、教育とゲームは連続的なものとして見た方が、色々と精算的な研究ができそうな気がします。
教育のゴールが自律的に活動する人間を生産することだとしたら、多分自律的に活動するに当たって必要なツールを授けるのは教育方面の研究の方が向いていて、自律的な活動を支援することはゲーム方面の研究の方が向いているのではないでしょうか(ゲームを維持する支援、という意味で)。
そして、両者のインターフェイスを整えるのは楽しい研究? になりそうです。やれるかはわかりませんが。

この辺の接続をするために、頑張って勉強していきたいと思います。


学期始まりだからか各種雑用がいっぺんに降ってきて最高に面倒くさい……
ブログ自体は合宿終わったので頑張って書いていきます……

それではまた次の機会に。