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ゲームしている人のブログ

デジタルゲームとその研究に関することを書いていきます

ハーフリアル紹介-5 ルールとフィクション(4 / 5)

研究・勉強 研究・勉強-本の紹介 研究・勉強-本の紹介-ハーフリアル

『ハーフリアル』について、読後のレジュメをまとめました。
学生の人にはゲーム研究の入り口として、また社会人の人にはゲーム研究を実務に活かす切り口として、参考になれば幸いです。

ここでは、「5 ルールとフィクション」の章について紹介します。
この章については一つのページを何回かに分けて更新する形にしたいと思います。

現在紹介している内容は pp.201~235 までの内容です。



読んだところの概要・感想

  • 2016/11/30
    • とりあえず読んだところのまとめは終わりました()
      • 最後の方読んでて感じたのが、これゲームについて評論したことがある人だとすんなり読めるのかなあ、ということ
        • 「すでに自分が評論者として認められているフィールド」があり、「そのフィールド内でより良く振る舞うための手がかり」として読むと、スッと入ってくるのかなあと
        • 一方そういうフィールドがなく、また評論者というよりも開発者・研究者として読んだ時、どういう風に解釈するかというのはすごい悩みそうだなと思いました。
          • 解釈しないという選択肢も、そういえばあるんですけどね
      • 疑問点とかはまた後日まとめます。
    • すごい気になったのですが、漢字で「如何様」って書いた時、皆さんなんて読むんですかね
      • 「いかさま」とも「いかよう」とも読めますが、私自身は後者のつもりで書いてます。
        • 「いかよう」に解釈できるということは、「いかさま」な解釈でも「いかにも本物だ」と思わせる(© 語源由来辞典)ことができますね、ということで一つ
  • 2016/11/21
    • ゲームの解釈について論じるパートが手強いので、一旦その直前までのまとめをアップ
      • 解釈のところで、それまでに論じられていたことがどんな感じでまとまってくるんだ……
  • 2016/11/18
    • p.226までまとめ進行。
    • 一瞬「創発的物語」という言葉を出してまとめたくなるところがあったのですが、ユール氏が結構否定的に捉えている語なので、慌てて回避。使うのであれば、もう少し文脈を理解してから使用した方が良さそうかな。
    • (個人的に)自明なものを、まとめに書くかどうか取捨選択するのが難しい。本書を読んだ後、本書の内容をきちんと使える(≠覚える)ように見返すものとしてまとめてるので、個人的に自明だと思ったら基本書かないけど、言及しないとなんでそうなるのかわからなくね? となるところは書く、という風にしてるが、やはり難しい。
  • 2016/11/12
    • これまでもそうでしたが、手を動かして内容まとめている時だと、一通り目で読んでいる時に分かったつもりのことが実は分かってなかった、みたいな事あって最高にエキサイティングですね。
    • この章はページ分けるよりも一つのページに纏めたほうが体系立ってまとめやすそうだなーと思ったので複数回更新の形で掲載します。
      • 目で読むだけだと気が付かなかった内容の繋がりを可視化できればいいなあ……
    • 疑問点とかは最後に一気にまとめます。
    • 空間のところで「A →| MC > B」みたいな書き方をしていますが、マジックサークル MC が非ゲーム空間 A とゲーム空間 B を切り分けている、みたいなものだと思ってください。自分が直感的に分かりやすい書き方をしたらこうなりました。

読んだところの内容まとめ

ルールとフィクションの相互作用を踏まえた、ゲーム解釈の提案

これまで解釈が持つ問題点

  • (コメント)前提として:「解釈」という語の使い方について
    • 本文を読んでいる限り、少なくとも2種類の「解釈」があるように感じる。
      • ①個人的な解釈:共有されている/いないに関わらず、公的な施策・運動につなげる志向を持たない解釈
      • ②公的な(ものとして提出された)解釈:共有されており、公的な施策・運動につなげる志向を持つ解釈
    • そして本書で問題として挙げられているのは(素朴で表面的(p.233)である)「②公的な解釈」であり、どうしたらより良い解釈をすることができるのか、というのを論じているのが本章最後の節、なのだろうか?
  • ゲームは何を元に解釈されていたか? →それが持つルール
    • この解釈はどこに問題があるか? →ルール自体は、如何様にでも解釈できる
      • 例:『Monopoly』のルールに対する両極端な解釈(独占状態への賞賛 or 反対)
      • →ルールの面からゲームを見た時(=ゲームが成立させる「ゲーム空間」のみを見た時?)、そこは遊び場(p.233)として、プレイヤーが様々に振る舞うことを可能としているにすぎない

「素朴」な解釈の回避策

  • 論じるための道具立て(p.233)(いわゆる理論的枠組み?)を用意する
    • そしてこの「道具」が、それまでに書かれてきたこと、という訳ですね。
  • ②(先行研究として?)既存の解釈作法を踏まえて解釈する
    • 既存のものとして、映画、オペラ、小説
      • 「描写のされ方」と「善悪の判断のされ方」は、必ずしも一致しない
      • →故に、「描写」のみで価値判断することはできない
        • →そしてこの見方がゲームにも適用できることが、『Monopoly』への言及で示されている
        • ゲームにおける「描写」=「ゲームプレイ」(p.121)?
    • ビデオゲームについては特定の解釈を支える慣習や共同体(p.233)があるわけではないため、既存の慣習や共同体を元に解釈することで、下支えのある解釈が可能となる、ということ?

ゲーム内における相互作用について

結合

  • ゲームにおいて「空間」(や事物)は、ルールにフィクションが結合されるところである
    • ルール的な「空間」:ゲーム空間
      • プレイヤーの行為を、ゲームプレイとして回収する空間
      • このゲーム空間を成立させる(=行為者が属する世界から切り分ける)境界が、マジックサークル
        • ビデオゲームにおいては、各種入力機器がマジックサークルの役割を果たす
          • 現実世界 →| マジックサークル > ゲーム空間
    • フィクション的な「空間」:虚構世界
      • プレイヤーの行為を、特定の文脈において意味ある行為として回収する空間
      • 虚構世界は現実世界の外に描かれるもの
        • ビデオゲームにおいては、画面と入力機器が現実世界と虚構世界を切り分ける役割を果たす
          • まさにインターフェース(interface)、境界面であるという感じですね
      • 虚構世界が存在する場合ゲーム空間は、虚構世界の一部をマジックサークルで切り分けることで成立する
        • 現実世界 →| 画面・入力機器 > 虚構世界 →| マジックサークル > ゲーム空間
        • →この構造により、ゲーム空間での行為を虚構世界内部で行われた行為として意味づけることが可能になる
    • マジックサークルは、様々な形態を取りうる
      • 現実世界:白線(各種スポーツなど)(、壁(鬼ごっこや隠れんぼなど))
      • 虚構世界:壁、白線、「メッセージとペナルティ」(pp.204-205)・「壊れた橋」(動機づけられている(motivated)(p.205)境界)、見えない壁(動機づけられていない境界)
        • ステージ制のビデオゲームの場合、マジックサークルが転倒(p.206)する=ゲーム空間の外が、ゲーム空間の数だけ生成される
          • →書いてみるとこんな感じでしょうか
            • step1.虚構世界[α]:ステージ開始
              • step2.マジックサークル MC 形成 →ここで、空間を切り分けるマジックサークル自体はステージ終了まで維持される
                • step3.ステージ進行
                  • 虚構世界[α]の[A] →| MC > ゲーム空間[A](ステージ1)
                  • 虚構世界[α]の[B] →| MC > ゲーム空間[B](ステージ2)
                  • 虚構世界[α]の[C] →| MC > ゲーム空間[C](ステージ3) ・・・

              • step4.MC 解除
            • step5.虚構世界[α]:ステージ終了

      • →たいていマジックサークルからの逸脱はペナルティになりうる
  • この結合した「空間」では更に、プレイヤーに訴えかける感情と、「ゲームプレイ」(そのゲームが実際にプレイされるそのあり方(p.121))の両者が作り出され、規定される
    • (コメント)この「感情」の部分には、ゲームのプレイされ方である「ゲームプレイ」と対比した時、ゲームの経験され方として「創発的物語」(p.195)も含まれるかな? と思ったけど、よくよく読み返してみるとユール自身はこの語自体に対して否定的であるため、積極的にそう読むのは難しそう。

想像の強化

  • ゲームのフィクション(→虚構世界?)
    • ルールによる正当性の担保:フィクションに関する言明の一部が持つ正当性については、現実世界(∋ゲームのルール)に依存する
      • それ以外の言明が持つ正当性については、その虚構世界に矛盾しない限りで担保される?
    • ルールによる想起:ルールで定められたゲーム内の事物の振る舞いがフィクションとなり、虚構世界を想像させることもある
  • ゲームのルール
    • フィクションによる理解促進:ルールに関する言明の一部を理解する手がかりとして、フィクションの言明が重ね合わさることがある
    • フィクションによる推測促進:言明されていないルールについても、フィクションがそれを想像するよう働きかける
      • 特にビデオゲームの場合ルールは最初はプレイヤーに見えないようになっている(p.216)ので、プレイヤーはフィクションから(実装されている)ルールを推測する傾向を持つ
        • 更に慣れているプレイヤーの場合、(ルールとして)実装されていない事柄についても想像することがありえる

実装

  • 実装=虚構世界内の出来事を、プレイヤーによる現実世界の活動として操作可能なものにすること
    • 「ゲームのルールに基づいた、ゲームのフィクションのシミュレーション」とも言える?
    • 虚構世界をどのように実装するかは、ゲームの面白さに関わってくる
      • なお、ゲームは実装すべき虚構世界がなくても=ルールのみでも成立はする
      • しかし、ルールと虚構世界の両方があるゲームを考えた時、そのゲームにおいて虚構世界がゲームの面白さに関係ないと言うことはできない
        • つまりあのゲーム A について、ルールを固定して虚構世界のみを入れ替えたゲーム A' を作った時、ゲーム A' がゲーム A と同じように面白いと言うことはできない
        • →虚構世界有りのゲームと、虚構世界無しのゲームは、それぞれ別のものとして面白さの「仕組み」を考えなければいけない
  • 実装のされ方:基本的に、技術的な問題に制約を受ける
    • 単純な出来事の場合
      • 様式化再現度をある程度低く抑えた形での実装。大抵のゲームはこれ。
        • 様式化することで、特定の概念(idea)(p.210)が際立たされる
          • この概念は、開発者の主観だけでなく一般的な見方と合わせて対象から抽出するのが良い
          • →ここで、面白いと思われている部分(p.210)を際立たさせることができれば良い?
      • 比喩的な置換(pp.212-215):虚構世界からは期待・予想されない形での実装
        • 提示される課題が、虚構世界内の活動についての何らかの比喩=何か別のもので表現したものになっている
    • 複雑な出来事(=一般的に様々なルールが絡み合っているとみなされる出来事?)の場合
      • 提示:全く実装せず、フィクションとして提示するのみに限る
        • (完全な形での提示:虚構世界内での出来事を、そのままの形で提示)
        • 単純化した提示:象徴的な事物に代替させた形での提示
          • 実際にどのような形でなされているかについて、プレイヤーに想像させるもの
      • 単純行為の帰結:直接的にではなく、間接的に実装する

競合

  • まず、ルールとフィクションは不調和を起こすことがある
    • 例:無意味な行為や見過ごしを誘発する一貫性の無い実装(p.218、フィクションがルールに対して起こす不調和?)、非整合的だがルール上有効な表象(p.220、ルールがフィクションに対して起こす不調和?)、語りのレベルを侵犯するフィクション(pp.221-224、虚構世界が現実世界に対して起こす不調和?)など
  • →しかしその不調和は、扱いによってはポジティブな効果を生み出しうる
    • 非整合的だがルール上有効な表象の場合:ユーモア感の付与、表象が持つ深みの付与、風刺としての表現
    • 語りのレベルを侵犯するフィクションの場合:プレイヤーに寄り添う、語りかけるものとしての表象
      • (コメント)一貫性の無い実装については特に言及が無く、自分もあまりポジティブな効果については思い至れず。。。「動かないと思っていたものが実は動く!」「扉のグラフィックがあるけどただの絵で開かない」といった驚かし要素がそれにあたるか?
        • 本書としては、「工夫することができれば、ポジティブな効果をもたせることが出来ますよ」と言えればそれで十分なのかも
  • →ただしルールがフィクションに対して起こす不調和の扱いについては未だ議論が残っている
    • 残っている議論:不信の停止(suspension of disbelief)(p.227)を妨げるものである
      • 不信の停止=プレイヤーが、現実世界における虚構世界についての表象を、虚構世界のものだとして受け入れること
        • →なぜ不信の停止が重要視される?:マレーが提唱した「没入」(immersion)(p.228)に繋がるものだから?
        • →なぜ没入が重要視される?:プレイヤーをゲームの虚構世界に「没入」させることで、ゲームを面白いと思ってもらえるから?
      • →しかし、「没入の誤謬」(immersive fallacy)(p.228):虚構世界の面のみに拘っても、「面白い」ゲームができるとは限らない
    • (コメント)ということは、不信の停止=「没入」感の妨げを理由に非整合的な表現について忌避する必要はない、ということ?

ゲーム外における相互作用について

開発の過程における偏り

  • ゲームのルールのあり方(p.233)(=プレイヤーに挑戦課題を与える仕方(p.93))と、そのゲームが持つ「虚構世界の整合性の程度」は、相関(not 因果)関係にある
    • (コメント)ここで記述されている2項目およびその「関係」は、どう読んだものか……?
      • 漫然と読んでいると「( ´_ゝ`) フーン」で終わりそうだったので、私自身は以下の通りに読み替えました。
        • 「あり方」と「整合性の程度」:「ゲーム開発における方向性」の2軸
        • 2項目間の「関係」:一方への「こだわり」が、もう一方にどう影響を与えたか
      • なぜそう読み替えたか?
        • ユール氏はここで、すでに出来上がったゲーム(結果)を観察した上での関係する理由について考察している
        • →ではそれについての考察は、実際に結果へ至るプロセス=開発過程と照らし合わせながら読み替えることができるのでは?
      • ただしあくまでも恣意的な読み替えであり、本当にそうかと言われると、うーん……
        • 「役に立つ」って難しいですね _(:3」∠)_ ゴロン
    • では、実際にどのような関係が観察されたのか?
      • 整合的な虚構世界 ←→ 進行型ゲーム
        • 相関関係にある理由①:同じフィクションを見る/見せること自体には、あまり意味がない
          • →「進行型(みたいな)ゲームを作ろうとすると、(自然と)ゲーム内虚構世界は整合的なものになる」という感じ?
        • 理由②:コスト的に実現可能な範囲で、虚構世界内におけるキャラクターの振る舞いを、整合的に「実装」することができる(進行型ゲーム → 整合的な虚構世界?)
          • →「ゲーム内虚構世界の整合性に拘ると、(自然と)進行型ゲームが出来上がる」という感じ?
      • 創発型ゲーム → 非整合的な虚構世界
        • 理由:そもそもルールの側面が重要視されるため、虚構世界の側面が相対的に気にされなくなる → 整合性の破綻がむしろ、ルールの側面を前面に押し出す
          • →「ルールによる面白さに拘ると、(自然と)ゲーム内虚構世界は非整合的なものになる」という感じ?
            • そもそも、ルールの特徴を活かすのと同時に虚構世界の整合性を保つのは難しい
            • →この辺の是非については、「没入」周りの議論をちゃんと見てから考えたいですね
        • →矢印を一方向のみにしているのは、「非整合的な虚構世界」に拘る、という状況が想像し辛いからです
  • そもそも、ルールとフィクションは一致すべきなのか(p.234)
    • つまり、一致していないことについて、わざわざ言挙げする必要はあるのか
      • 虚構世界内であり得る現象は全て実装されるべきであり、虚構世界内であり得ない現象は実装されるべきでなく、また実装された行動は全て虚構世界内の出来事として回収されるべきであり、実装できない行動は虚構世界として表現されるべきではないのか?
    • これについては、そのゲームの慣習に慣れない初心者に向けてどう作ったら良いか、ということを考える際に有効な疑問となる
      • (コメント)逆にそれ以外の場面でと考えると、あまり有効性が見いだせないような……

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