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ゲームしている人のブログ

デジタルゲームとその研究に関することを書いていきます

ハーフリアル紹介-4 フィクション(1)

研究・勉強 研究・勉強-本の紹介 研究・勉強-本の紹介-ハーフリアル

『ハーフリアル』について、読後のレジュメをまとめました。
学生の人にはゲーム研究の入り口として、また社会人の人にはゲーム研究を実務に活かす切り口として、参考になれば幸いです。

ここでは、「4 フィクション」の章について紹介します。
今回紹介する内容は pp.155~175 までの内容です。

(2016-10-25更新)疑問点追記しました。



読んだところの概要・感想

 今回読んだところは、抽象的/具象的なゲームとはなんぞやといった話や、ゲームのフィクションとはなんぞやといった話がメインでした。
 こちらの方面は全然知識が無く、読んでて勉強足りないなあと思ったことが結構ありましたが、全くわからない、というほどでも無かったです。
 わかりやすく書いてくれるのは嬉しいですね。語の使い方については勉強したいと思います。

 しかし、2005 年に書かれたと言うだけあって、結構時代性を感じるところも多々ある箇所でした。
 特にフィクションとしての重要性を述べているところとかは、VR とかまで出ている現在の状況を鑑みると、個人的には「ん?」って思いました。

 しかし 2005 年って PS3 がギリ出てないんですね……ビックリです(PS3 は 2006 年発売)。

 疑問点のところはちょっとまとめ方に詰まったので後日アップします。(2016-10-25追記しました)

用語について

  • 虚構世界:フィクションにより描かれる、あるいはプレイヤーにより想像されるもの
    • 現実の世界と比べると不完全=特定するための手がかり(=フィクション)が全ての物事について必ずしも与えられるわけではない
    • 想像される虚構世界自体は、受け手によって異なる
      • そしてこの想像された虚構世界は、その曖昧さ故に議論の対象になる
    • 想像に必要な情報が欠けている場合は、「最小逸脱の原則」(ライアン、1991)に従って=プレイヤー自身の理解を元に、想像される
    • 非整合的=ルールの側面からでないと説明できないものも存在する
  • フィクション:虚構世界を描く=想像させるもの
    • 表現されている事態と、その背景にある虚構世界を想像させるための手がかり
  • ストーリー:受け手に語られる一連の出来事
    • 個々の出来事=フィクション?

ゲームの抽象性について

  • ゲームが抽象的/具象的であるかは、以下の視点で見る必要がある
    • A.ゲームそれ自体
    • B.プレイヤーの経験
    • C.ゲームの使われ方 など?

フィクションの面から見たゲームの分類について

  • 表象しているものを基準としたゲームそれ自体の分類(pp.164-166)
    • 1.抽象的ゲーム(例:チェッカー):何も表象していない
    • 2.アイコン的ゲーム(例:トランプ):個々の構成要素がアイコン
    • 3.非整合的な世界を持つゲーム(例:チェス):虚構世界内の事柄として説明できないものが描かれており、またそれについてプレイヤーが想像することを妨げる
      • ゲーム内の状況について、ゲームのルールや現実世界の法則に言及することなく説明できるかどうかで判別できる
      • →一部を切り取って説明できるかどうかではなく、セッション全体をそのように説明できる必要がある
    • 4.整合的な世界を持つゲーム(例:アドベンチャーゲーム):虚構世界内の事柄として説明できないものが描かれており、プレイヤーの想像を妨げない
    • 5.舞台上のゲーム(例:メイドインワリオ):ゲームの中でゲームを行う入れ子構造になっている
      • 虚構世界を持つゲームでのみ可能
    • →これらの話は、プレイヤーの経験レベルでも同様のことを言うことができる
  • 一方ゲームが表象しているものがなんであれ、プレイヤーはそれを何かの寓意(≠表象?)として見る可能性は開かれている
    • プレイヤーの想像について、説得力の有無は存在する

プレイヤーの経験から見たゲームのフィクションについて

ゲーム内虚構世界の想像に対して、プレイヤーの経験に委ねられている部分
  • ゲーム内のフィクションから想像するもの
  • フィクション=虚構世界想像の材料として使用するもの
  • 虚構世界の想像自体をするかどうか
  • →私見として、ここから逆にデザインする側でコントロール可能なものとして、以下のものが考えられそう
    • フィクションとして提供するもの
      • 提供するか否か
      • 提供するタイミング
    • フィクションが持つ情報量(全く新しい情報か、付け加えるような情報か)
    • フィクションとしての程度(世界観の一角を為すか、それとも虚構世界外のもの(ルール、宣伝など)として振る舞うか)
プレイヤーの経験に働きかけるフィクションそれぞれの重要性について
  • 留意点
    • 重要性について判断する素材は、おそらく『EverQuest』(1999、Sony Online Entertainment)がメインなので、それによるバイアスに留意(例えば『ダークソウル』を遊んだ身としては、奇襲を知らせるサウンドの比重が低いとはとても思えない)
      • 本体サイトはこちら。まだ運営されてるってすごいですね。歴史を感じます。
    • また、重要性を考えるに当たって参考とされているゲームは少なくとも 2005 年までのものであるため、ある程度時代性?を考慮して読む必要あり
    • ゲームの中身をどう細分化して見るかについての参考として読むのが適切?
  • グラフィック:最も比重が大きいフィクション
  • サウンド:フィクションとしてそこまで重要ではない
  • テキスト:グラフィックに次いで大きな比重を持つフィクション
    • ボイスもこの範疇に入れることができる
      • 同じ「音」であるサウンドとの違いは?:私見としては、直接的な情報を表すか否かの違いなのかなと
  • カットシー:徐々に比重を増しつつあるフィクション
    • 虚構世界についての情報だけでなく、ゲーム内の課題を提示する役割も果たす
    • プレイヤーの操作を受け付けない、という意味で非ゲーム的要素ではある
  • タイトル、説明書、パッケージ:プレイヤーに虚構世界を想像させるための入り口、という意味で重要なフィクション
  • ハプティクス(触覚技術):(2005年時点では)そこまで大きな比重を持たない(持てない)
  • ルール:虚構世界の動的な面について描く、という意味で重要?
  • プレイヤーの行為と時間:重要性については言及なし
    • 虚構世界の状況とプレイヤー自身の状況両方に影響を与えるものである
  • うわさ:プレイヤーのスキルに応じて重要性が左右されるフィクション
    • ビデオゲームにおいては、虚構世界を解釈するための材料にアクセスするために、ある程度のスキルが必要となる
      • この辺は『ダークソウル』の考察沼を見ていれば理解しやすいですね
    • →想像する材料へのアクセスに制限がかかっていることで、噂や憶測などで補完するしかなくなる
      • この不完全な補完は、「最小逸脱の原理」、および想像の仕方の慣習に従うと思われる

疑問点について

前章より持ち越した疑問点

  • 4.ルールとフィクションの相互作用の詳細
  • 9.中間領域が持つ生産性の詳細
  • 11.「自己目的」性がゲームの定義に使用できない理由
  • 21.ゲームルールの明確性が議論の対象となる理由
  • 22.ルール=ソフトウェアを「内蔵」しているハードウェアの議論の射程
  • 24.ルールが「可変」であることと「柔軟」であることの差異
  • 25.帰結が「取り決め済みである」ことと、「取り決め可能でない」ことの差異
  • 28.情報量低減(information reduction)とは何か

解決した疑問点

28.情報量低減(information reduction)とは何か

 さて、後で論じると言われてたところが出てきました。
 とりあえず最初に出てきた時に気にしていたことは以下の3点です。
 それぞれについて、pp.173-174 を丁寧に読む形で答えてみます。
 (原典の論文は、アクセスできたのですが思ったより長かったので読むのは挫折)

  • 1.(『ハーフリアル』で使われている)情報量低減(information reduction)の全体像は?
    • 1.プレイヤーは当初、フィクションとルール両方を意識しながらゲームをプレイする?
    • 2.慣れてくるにつれ、フィクションに対する注意力が下がり、ルールに対する注意力が上がる
    • 3.プレイヤーは(ルールを認識するのに必要最低限な程度に)、フィクションに関する情報提示の量を下げる
    • 4.その結果、プレイヤーはゲームプレイにおいて課題の遂行能力を向上させる
  • 2.ルールの理解は、プロセスのどこの一部をなしているのか?
    • 素直に考えれば2ですね。「慣れてくる」、というところが「ルールの理解」ということかなと。
  • 3.取り上げることにどういった利点があるのか?
    • プレイヤーは、フィクションを(ある程度)無視してゲームをプレイすることがある、という話の根拠付け? ができること、および、なぜ無視するかの理由が説明できること、かなと
      • グラフィックに力を入れる時、どの方向に力を入れた方が、よりプレイヤーにそのグラフィックを楽しんでもらえるかの参考になりそうですね

新しく出てきた疑問点

  • 37.(本書外への疑問)抽象的か具象的かを考える際の視点は、どこに由来するものだろうか?
    • p.163 で、ゲームが抽象か具象か考えるにあたって3つほど視点を出してましたが、この見方はどこから由来するのでしょうか。感覚的には記号論とか表象文化論とか、その辺から由来する気がしますが……
  • 38.(本書外への疑問)最小逸脱の原理に基づいた想像には、どのような種類があるのだろうか?
    • 〈当の虚構世界についての情報が部分的に特定されていない場合、受け手は、現実世界についての自身の理解を使ってその空所を埋める〉(p.157)という原理らしいですが、その「自身の理解」と「直前まで得ている情報」、そして「欠けている情報」の3点から絞れば、想像の内容についてカテゴライズできそうな気がしますがどうなんでしょうか。
      • 時間がある時に原典の該当箇所読んでみたいと思います。
  • 39.(本書外への疑問)個々のフィクションが持つ重要性について、より現代に近い形で描写したらどうなるか?
    • そもそも p.167 で語っている重要性って、一体どうやって出したのでしょうね。個人的にはその過程がちょっと気になります。
  • 40.(本書外への疑問)チュートリアルは、フィクションとしてどうなのか?
    • 最近のゲーム(特にスマホゲーム)って、結構チュートリアルに力を入れていると思うのですが、「虚構世界の作り方」の節で語られている枠組みで考えた時、チュートリアルはそれ単体として独立した地位を得られるのでしょうか。あるいは何かのサブカテゴリに入るのでしょうか。
      • カットシーンの範疇に入りそうな気もしますが、ゲームを始めてからすぐのところで出くわす「フィクション」ではあるので、ゲーム中盤とかで出てきうるカットシーンとはまた別物として考えた方が良いのかしら、と思ったり
    • またこれは「フィクション」として、どのくらいの重要性を持つのでしょうかね。スマホゲームとかだと、ここのUXデザイン気を付けないと離脱率が~みたいな感じで結構重要視されているイメージはありますが。
      • カテゴリを決めたら、そこから重要性を考えられそうな気はします。

疑問点まとめ

本書内での疑問点

  • 4.ルールとフィクションの相互作用の詳細
  • 9.中間領域が持つ生産性の詳細
  • 11.「自己目的」性がゲームの定義に使用できない理由
  • 21.ゲームルールの明確性が議論の対象となる理由
  • 22.ルール=ソフトウェアを「内蔵」しているハードウェアの議論の射程
  • 24.ルールが「可変」であることと「柔軟」であることの差異
  • 25.帰結が「取り決め済みである」ことと、「取り決め可能でない」ことの差異

本書外への疑問点

  • 37.(本書外への疑問)抽象的/具象的の視点の由来は何か
  • 38.(本書外への疑問)最小逸脱の原理に基づいた想像の種類にはどのようなものがあるか
  • 39.(本書外への疑問)フィクションが持つ重要性を再描画したらどうなるか
  • 40.(本書外への疑問)チュートリアルの「フィクション」としての立ち位置

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